NoBlog -I'm Hearing Impaired-

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感音性難聴(右:105dB 左:91.25dB)/ 音声認識と情報保障に関する研究をしてました

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筆談器 -Boogie Board-

今回は、手軽で便利な電子メモパッド"Boogie Board"の紹介と外国の方とのコミュニケーションについて投稿します。 

1. Boogie Board

(http://www.improvelectronics.com/)

軽い・薄い・見やすい・シンプルで使いやすいので、筆談器としてBoogie Boardを使用しています。同研究室の留学生とはBoogie Boardを使ってコミュニケーションをとっています。(↓こんな感じ)

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私が使っているBoogie Boardは大学から借りているので詳しい価格はわかりませんが、Amazonで安く購入できるみたいです。 

2. Facebook,LINEのチャット 

私は電話することができないので、留学生や外国の友人と連絡する時はSNSを積極的に活用しています。やはりSNSは便利ですね!!

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当然ですが、話す相手が日本人にしても外国人にしても、自身の障がいをしっかり説明して、配慮のお願いすることが大事ですね。

【自己紹介の際、私がよく使うフレーズ】

"I'm a hearing impard. I need your help because I can't hear. Write messages on my board,please. Is this OK??(with SMILE)"

筆談してもらうことで、結果的にお互いの意思疎通が図れて楽しいです。障がいを理由に、外国の方とのコミュニケーションを避けるのは勿体ないです。私自身、筆談をお願い出来るようになったのはつい最近のことなので、少々後悔しています。もっと早く筆談をお願い出来てたらな...

京都大学 バリアフリーシンポジウム

2013年6月29日〜30日、京都大学の理学部6号館でバリアフリーシンポジウム(しなやかで、したたかな「障害学習」のすすめ)が開催されました。セッション1の第二部で、障害を持つ学生が現状について話し合う座談会が開かれ、自身の障害や学生生活について発表させていただきました。200人を超える参加者の前で緊張しましたが、自身の障害に真摯に向き合う良い機会でした。発表の場を与えて頂きました関係各位の皆様に感謝しております。以下に、座談会の原稿(私の分のみ)を公開します。

 

座談会の原稿


司会/ 「所属、氏名、学問分野、どんなことを勉強しているかを教えて下さい」

桑原/ 情報学研究科修士課程2年の桑原暢弘と申します。学問分野として、情報学(コンピュータサイエンス)です。私の専攻では、「人工知能」という言葉を聞いたことある方もいると思いますが、人間の行う情報処理について勉強しています。私は、明日の午後のセッションで講演される河原先生の下で、音声認識の研究に取り組んでいます。最近、スマートフォンに搭載されている、iPhoneの「Siri」やdocomoの「しゃべってコンシェル」のような音声認識テクノロジーを利用して、パソコンテイクに活用する研究に取り組んでいます。今会場にありますパソコンテイクを、人手でなくコンピュータで音声情報を文字情報に変換して、自動的に字幕を提示する研究をしています。説明が長くなりますので、興味のある方は明日の午後に河原先生が講演されますので、聞いて頂けたらと思います。よろしくお願いします。

 

司会/ 「障害について、これまでのこと、大学でのサポートについて教えて下さい」

桑原/ 生まれつき難聴で成長と共に聴力が低下しています。聴力レベルは、左が90dB程度で右が100dB程度です。健常者の平均が0dBでして、このdBの値が大きくなればなるほど聞こえが困難になります。私の聴力レベルですと、電車が通るガード下で音がやっと聞こえます。寝ているときは補聴器を外すので、火事とか起きたら、音に気づかず逃げ遅れる心配等あります。

  京大に入る前ですが、学部時代、別の大学に通っていまして、大学院から本格的な支援を受けるようになりました。大学までノートテイク(文字による情報保障)などの支援にアクセスできなかったこともあり、音声情報の重要性から目を背けていたところもありました。今考えれば、自分自身で積極的に大学に訴えれば、必要な支援を整えることが出来たのかもしれません。残念ながら当時の私には、障害のことや支援のこともよく理解していなかったのではないかと思います。

 現在の支援ですが、研究室のディスカッションでの支援が中心になります。ディスカッションでは、研究室の同期がパソコンテイクをしてくれています。留学生の英語のプレゼンでも、同期が英語から日本語、日本語を要約してタイプしてくれます。二段要約ですよ!自慢ですが、同期すごいですよ。初めてテイクを受けた時、自分がここまで情報を落としていたいのかと驚きました。後悔しても仕方ないのですが、もっと早く情報保障を受けていれば良かったなと思います。それから支援のことで上手くいくこともあり悔しい想いもしますが、指導教員や仲間、支援のスタッフの方と一緒に考えることで、様々なことに対して前向きに取り組むことができるようになりました。

 

司会/ 「日常生活、一人暮らし、通学、サークル活動について教えて下さい」

桑原/ 一人暮らしを始めて、もう4年目になります。ここ一年を振り返ってみますと、ビックイベントとして就職活動がありました。本当に色々と苦労しました。合同説明会での会社案内、聞き取れませんし…会社からの選考案内の電話に対応できませんし…健常者と同じように就職活動したら上手くいかないと思うので、工夫しましたね…

 私は、会社側が「障害者に対して、どのようなスタンスと取っているのか」という点に絞って、就職活動してきました。とくかく沢山の企業に配慮のお願いをする(個別面談やメール対応可能)メールを送りました。また面接で自身の障害を説明するのですが、これが難しい、本当に難しい。10年以上共に生活した家族でさえ私の障害を理解してもらえないのに、30秒程度で面接官にどうやって説明するか。どうやって説明すればいいでしょうかね…?(笑) この点に関して、支援室の村田さんや京大手話サークルの皆さんのサポートが大きかったです。村田さんが嫌になるくらい相談したかもしれません。如何ですか、村田さん?今日も会場にいると思いますが、手話サークル員のサポートも大きかったですね。サークル員と沢山話して、自分の障害や考えを整理できました。本当に周りの環境に恵まれていたと思います。私からは以上です。

 

会場/ 「電話対応はどうしていますか? 待ち合わせで困りませんか?」

桑原/ 友人との待ち合わせ等は、メールやSNSを積極的に利用しています。本当に便利ですよね。こんな便利な社会なのに、電話対応しか受け付けない所って色々あるんですよね… 例えば、病院の予約や何かの解約手続きなど。本当に大切なところに限って、電話できない。自分の力でどうしようもない時は、友人などにお願いしています。

 

会場/「夢は何ですか?」

桑原/  無事に卒業し社会人になったら、障害者でも働けると証明したいと思っています。勤め先だけでなく、社会全体に証明出来たらいいなと!

 

【座談会の写真】

(助教授に撮影して頂きました)

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「耳が聞こえない」!=「英語ができない」

" != "はnot イコールという意味

バックグラウンド


「耳が聞こえない・聞こえにくい」ため、英語学習に苦労する人が多いかと思います。私は生まれつき感音性難聴で、特に高音が聞こえません。英語は、日本語に比べて高周波の音声が含まれる言語ですので、私の場合、残存聴力を活用しても聞き取ることが困難です。中学生の時、リスニングテストの際は、職員室で個別対応(ヘッドホン)をしてくれましたが、それでも聞き取れず、勘で解答していました。そのような経験から、リスニングに時間をかけて勉強することに疑問を思い、高校以降はリーディングの勉強に力を入れるようになりました。

大学時代は、英語論文を読むことがメインでしたので、また英会話の講義を履修しなかった理由もありますが、特に苦労しませんでした。大学院に入ると、英語を使う機会が圧倒的に増えました。英語できないと、講義やゼミについていけなく、正直にしんどいです。講義に関しては、予習(昨年度の講義資料、オンラインサイト)を利用していました。ゼミでは、同期がパソコンテイクをしてくれますが、留学生の発表となると、内容的にも難しいため、100%の情報保障は難しいです。配付資料や論文を読むことで、聞き逃した情報を集めています。留学生とのコミュニケーションでは、英語で筆談してもらう・SNSの活用する等の工夫をして、交流しています。

おすすめサイト


  1. スタンフォード大学の教授らが立ち上げた無料オンライン講義サイトCoursera(Coursera.org)
  2. 世界中の大学が、インターネットで講義を無料配信するオンライン教育システム"エデックス"(edX)
  3. 様々なプレゼンの模様を録画した動画アーカイブ(TED: Ideas worth spreading)

英語検定試験の配慮


  1. TOEIC:目・耳・肢体などが不自由な方は問い合わせとのこと(TOEICテスト|スケジュール・申込|申込方法・受験料
  2. 実用英語技能検定:障がい者に特別措置について(お申し込み | 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会) テロップによる特別受験が可能です。

総括


この時代、無料で英語字幕の講義を視聴したり、SNSで外国人と交流できて、本当にラッキーだと思います。耳が聞こえないから(リスニングは難しいかもしれないけど...)、英語ができませんって言ってられないですね。

 

聴覚障害のある私が「就活」してみた

はじめに


 就職活動中、「聴覚障害者」×「就職活動」ついての良い情報が、検索しても見つからなかったので、投稿しました。もし就職活動が上手く行かなかったとしても、内容に関して、筆者は一切の責任を負いません。ご容赦ください。

まず始めに、聴覚障害者が就活する上で困ること

  • 説明会が聞き取れない
  • 面接での受け答え
  • 選考案内等の電話に対応できない(←聴力レベルによります)

上記は一例ですが、健常者と同じように就職活動したら上手くいかないと思うので、工夫する必要があると思います。私は、会社側が「障害者に対して、どのようなスタンスを取っているのか」という点に絞って、就職活動してきました。とくかく沢山の企業に配慮のお願いをする(個別面談やメール対応可能かどうか)メールを送りました。また面接で自身の障害を説明するのですが、これが本当に難しいです。10年以上共に生活した家族でさえ私の障害を完璧に理解してもらえないのに、数分程度で面接官にどうやって説明するか。11月頃、私はポートフォリオポートフォリオ - NoBlog -I'm Hearing Impaired-)を作成し、自身の障害をうまく説明できるように練習しました。

おすすめサイト


  1. WebSana(障害者のための求人・仕事・雇用情報なら就職・転職サイト【ウェブ・サーナ】)
  2. クローバー  (障害者の求人・就職・採用情報や転職・仕事探しならクローバーナビ)
  • 一般的な合同説明会に行っても、説明内容が聞き取れなかったり、人が多すぎてプレゼンも見えないことあります。ここで紹介したサイトの説明会は、一対一で面談ができます。有効に活用することをお勧めします

具体的な配慮例


  • 外資IT: 説明会にて、私1人に対して、3人のプロのテイカーが付きました
  • 某メーカー:プレゼン面接時に、ホワイトボードを使ってサポートしてくれました。また選考前に、同じ障害を持った社員と面談させて頂きました
  • 私がエントリーした企業は、すべてメールで選考の案内をして頂きました。電話は一度も使っていません

※とにかく、配慮をお願いするメールを沢山送りました。ほとんどの企業は、丁寧に返信してくれます。

アドバイス


  • 面接の終わりに、配慮してくれたこと(仮に自分にとって満足な配慮じゃなかったとしても)の御礼を言いました
  • 余裕があれば、インターンシップに行って、仕事する上で自分自身がどんな配慮が必要なのか分析しておくと良いです。就活前に、私は3社(Nobuhiro Kuwaharaインターンシップを経験しました
  • 色んな人(社会人、先輩、同期、先生、両親 etc.)と相談してください
  • 面接官側の視線に立って考えてください
  • 恥ずかしくても、ESは他人(なるべく色んな人)に見せてください

最後に


就職活動は、改めて「自分自身の障害」を学ぶ機会であり、また「他人に自分の障害を説明」する良い機会です。それでは、頑張って下さい!!

ポートフォリオ(障がいや支援のことに関する経緯)

 これまでの障がいや支援のことに関する経緯をまとめてみました。多くの人からフィードバックを頂いて、客観的に自分自身を分析してみました。現在の聴力レベル R:100dB L:90dB程度です(残存聴力のある左耳のみ補聴器を装着)。補聴器を付けていない右耳は、ほとんど聞こえません。

~大学入学前


 私は生まれつき感音性難聴がありましたが、小学校までは補聴器を使用せずに生活していました。授業では座席を最前列にしてもらう等の工夫をしてもらっていました。はっきりとした原因はわかりませんが、小学校 4 年生の頃に聴力が低下しました。その頃から、放課後に他の小学校の特別支援室に通うようになりました。特別支援教室では、主に発音の練習をしていました。

 中学生からは、補聴器を使用して授業を受けるようになり、日常生活でも使用するようになりました。学校側の配慮として、先生の口元が見えるように最前列の座席を確保してもらい、先生が板書を多くしてくれるなど、私が授業に参加できるような工夫をしてくださっていました。

 高等専門学校では、中学校の時よりも勉強の内容が難しくなりスピードも早くなり大変でしたが、私のことを理解してくれる友人、先生に恵まれて楽しい学生生活を送ることができました。友人や先生には負担をかけてしまっていたかもしれませんが、快く接してくれていたことにとても感謝しています。 

大学


 編入学した大学でも、大学以前と同じようにやればうまくいくと思っていたのですが、現実はとても厳しいものでした。大学では先生の話すスピードがさらに早くなり、内容の専門性も高くなったことに加えて、講義室も広く口元を読み取るということは困難でした。さらに、学生の人数も多く、クラスなどの枠組みもないため、友人に助けてもらうということにも遠慮してしまっていました。特に、研究室でのゼミでは質疑応答の内容が聞き取れず悔しい思いもしました。

 通っていた大学ではノートテイク(文字による情報保障)などの支援が行われていなかったので、自分で努力するしか無い状態でした。今考えれば、自分自身で積極的に大学や友人に相談して、必要な支援を整えていくということができたのかもしれませんが、その当時の私には、障害のことやそれに対する支援のこともよく理解できていなかったのではないかと思います。   

大学院


 障害のことや支援のことを、自分自身がもっと知らなくてはならない。そのような思いで、大学院では『音声認識技術を用いた字幕の作成支援システム』について研究し、同じ障害のある方々のための役に立ちたいと思いました。さらに、将来、社会人としてやっていくためにも障害や支援を適切に理解する必要があると感じたため、障害学生支援室が設置されている場所で学んでみたいと思うようになり、京都大学大学院情報学研究科へ進学しました。

 大学院でのゼミやディスカッションは予想以上に難しいものでしたが、研究室の同期がパソコンテイクやノートテイクでサポートしてくれていることで、とても有意義な時間を過ごせています。また、FM 送受信システム(補聴援助システム Roger | 製品情報 | 補聴器のフォナック)や音響機材などを用いるなど、様々な支援・機器を体験してみることで、障害や支援に対し てもとても勉強になっています。もちろん、うまくいくことばかりではなく悔しい気持ちになることもありますが、先生や仲間、支援のスタッフの方と一緒 に考えることで、様々なことに対して前向きに取り組むことができるようになりました。

 大学院では手話サークル(京都大学手話サークル ホームページ)にも所属して、手話技術の向上にも励んでいます。 今までは、自分に聴覚障害があるにも関わらず、そのコミュニケーション手段のひとつである手話を学ぶということを避けている自分がいました。しかし、 色々な経験から、手話を学ぶことを前向きに捉えられるようにもなりました。 このことは、自分自身の大きな成長だと思っています。手話サークルでは、同じ障害のある仲間にも出会い、彼らと共に貴重な経験をしています。これからの私にとって大きな財産になると思っています。 

大学院入試での配慮

はじめに


 大変有り難いことに、私の大学院進学に関して興味を持ってくれる方々がいます。私が学部と違う大学院へ進学した理由は、①「聴覚障がい者のための音声認識技術ついて研究したいから」②「自分自身が障害のことや支援のことを知る必要があるため」の2つの理由あり、受験を決意しました。それでは、聴覚障害のある私がどのような配慮を受けて、院試に臨んだのか記述します。

院試について


 私が所属する専攻(院試情報 | 京都大学 大学院情報学研究科 知能情報学専攻)では、筆記試験+口頭試問(面接)+TOEICのスコアの3つで合否が決まります。私が受験した時、筆記試験の配慮として、試験室の最前席を確保してくれました。口頭試問は、筆記試験の点数・研究室の倍率によって口頭試問の有無が決まるそうです。口頭試問は免除されたので、特別な配慮をお願いしていません。障害を理由に、口頭試問に不安がある方は、以前に障害学生支援室へ連絡しておいたほうが良いです。もし、きちんと対応をしてくれなければ、その大学へ行かない方が良いと思います。入学した後、満足なサポートを受けられるかどうか疑問ですので。

 次に、TOEICのスコアについてですが、研究室の教授や学生課に相談したところ、Listeningを免除し、Readingのみで評価してくれることになりました。TOEICでReadingのみ受験する場合、私はTOEICプライオリティサポートへメールで連絡しました。身体障害者手帳のコピーを送付する等の簡単な手続きをすれば、Readingのみ受験できます。余談ですが、TOEICでは、英検で実施されている「テロップ」(字幕付きリスニング)は対応していません。

 所属する専攻では、英語の特別配慮に関する前例がなかったため、手続きに時間がかかりました。受験する1年前、私は大学院の教授にお願いしていました。(前例がない場合、思った以上に時間がかかるので、早めに動いた方が良いです)教授からは、「Readingのみでも、英語は必死にやっとけ」と言われました。というのは、私が所属する専攻では、英語の講義も多く(研究室の教授も英語で講義)、研究室のゼミ等でも英語を使うので、正直に英語力がないときついです。英語に関しては、また改めて投稿します。

最後に


 大学院は「研究室」を選ぶので、研究室訪問はしたほうが良いです。いや、すべきです。研究室の雰囲気や教授の指導方針によって、研究生活が左右されます。入学後、研究室全体が本当にサポートしてくれるかどうか見極める必要があると思います。具体的な院試に向けてのプロセスですが、先輩の投稿(外部大学院入学について - あしたからがんばる ―椀屋本舗)が、とても参考になります。それでは、失礼します。